人間学の同人誌『Becoming』

生成の人間学の探求 『Becoming』年2回(春/秋)発行 同人代表:作田啓一 制作:BC出版

第32号(2013.9)

第32号(2013.9)

内容紹介

チェーホフ ─ 絶望と希望の文学 作田啓一
本論は Ⅰ「絶望的な環境」 と Ⅱ「絶望する主体」 の2部から成る。Ⅰではチェーホフの描いた1880~90年代のロシヤの現実を農民、都市生活者など5つに区分して記述。Ⅱではそれに対応して絶望しているチェーホフの主要作品を分析する。しかし、その環境のせいだけとは言えないメタフィジカルな彼の絶望の原因を、筆者はその宿痾に苦しんだ作家の死の強迫の中に見いだす。その観点から従来謎とされてきたサハリン旅行の動機を、一種のカタルシス説によって説明している。最後に、その絶望にもかかわらず抱かれていた希望は、作家の未来からの視線による、との解釈が示される。(400字×110枚程度)
愛のふるまいの根拠 高橋由典
筆者はM.シェーラーと同様キリスト者の立場に立ち、ニーチェがルサンチマンをキリスト教に見いだす見解の誤りを指摘すると共に、高次元(たとえば余裕のある人)から低次元(たとえば貧者)へ向かう愛が、規範を通過していないという点で、体験選択に属していると論じる。体験選択の内容としては「魅了」に並び「苦痛転写」の経験をも挙げうることを認め、その経験の生じる心的場所についても検討を加えている。(400字×25枚程度)
ガラス窓の向こう側 『シルビアのいる街で』と他者の分身 原田達
光を反射し、かつ透過させるガラスの効果を駆使して、この映画作品の監督ホセ・ルイス・ゲリンは、シルビアという女の幻影性(幻像、亡霊性)とプリズム性(分裂・屈折残像、分身性)を描く。彼女を取り戻そうとする男は、彼を見つめ返すことのないその女=永遠のシルビアを欲望しつづける。本作に導かれて筆者 は、反復、欲望、まなざし、分身論などの哲学的精神分析的テーマを廻游する。(400字×65枚程度)

 

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